Rebbleがブログ更新 – Rebble App Storeをめぐる紛争が落ち着きそう?

2025年11月17日に、Rebble(れぶる)Foundationが投稿したブログに端を発するRebbleとEric/CoreDevices社との意見の相違について、先日、クソ長い記事でお伝えしました。
本件について、Rebble(れぶる)側から、かなり落ち着いた感じの前向きなブログ投稿がありましたので、本記事では、その内容をお伝えいたします。
 

前提

  • Pebble Watchは、2012年〜2016年ころに発表・開発・発売されていたスマートウォッチです(Apple Watchは、2015年から)
  • App Storeがあり、時計の盤面(ウォッチフェイス)とアプリを開発・公開・ダウンロードが可能で1万以上のウォッチフェイス・アプリが公開されていた
  • 2016年、Pebble Watchを提供していた Pebble Tech Corp社(代表: Eric Migicovsky)が廃業(fitbit社に買収)
  • 2018年、fitbitが維持していたPebble App Storeを閉じる
    • この時に閉じるまえに、Pebbleを愛する有志(Rebble(れぶる))によるデータコピーと互換API開発などが行われた。Rebble(れぶる)は、その後、Rebble Foundationという非営利団体になった。
  • 2025年現在も、Rebble(れぶる)による発展を続けながら、ウォッチフェイス・アプリアーカイブは維持されている
 

経緯

  • 2025/1
    • Pebble Tech Corpを買収したfitbit社を買収したGoogleが、PebbleOS(Pebble Watch本体のOS)をオープンソースにすると発表
  • 2025/3
    • 新しいPebble Watchを製造・販売することをEric/CoreDevices社が発表
  • 2025/8〜11
    • 新しいPebble Watchの1つである「Pebble 2 duo」が製造・ベータテスター向け発送・量産・発送
      • Rebble(れぶる)が提供するアプリアーカイブを利用してApp Storeが提供される
  • 2026/1〜3
    • 新しいPebble Watchのもう1つである「Pebble Time 2*」が量産・出荷予定
 

騒動の概要

  • 2025/11/17 Rebbleが投稿したブログ記事が、下記を伝えていました。
    • Rebbleのアプリアーカイブを利用している新しいPebble Watchを販売しているEric/CoreDevices社との交渉が上手く言っていない旨
    • Pebble OS、コンパニオンアプリ(母艦アプリ)(libpebble3部分はオープンソースだが、少し制限的なライセンスだ)、開発者用webサイトなどについて、Eric/CoreDevices社は、Rebbleのものではなく、Eric/CoreDevices社自身のものを利用し、一部についてRebble(れぶる)のものを盗用したあげく、その成果をフィードバックしていない
    • この上で、Rebbleのもっているアプリアーカイブについてアクセス権を要求されたが、そうなると容易にコピーでき、アプリアーカイブさえもEric/CoreDevicesが囲い込むことになれば(新しいコンパニオンアプリのアーカイブ接続先をRebble以外にされたら)、Rebbleは存続できない、ないし存続する意味がなくなる
    • そうならないために交渉してきたが、Eric/CoreDevicesは、とうとうスクレイピングによるアプリアーカイブのコピーを始めた
    • このままでは、Eric/CoreDevices社による、クローズドなエコシステムが出来上がり、Eric/CoreDevices社が破綻したときには一緒に消えてしまう。このようなクローズドな仕組みを作ろうとする試みは失敗するし、Pebbleコミュニティも歓迎しない。Ericはそんな考えはないというが、上記のような動きをみると疑わしい。
    • コミュニティにどうすべきか(訴訟などで権利を守るか、すべてを明け渡すか、その他の選択肢を取るべきか)を広く問うた
  • 2025/11/18 Eric(CoreDevices社)のブログで反論記事が掲載されていました。
    • Eric/CoreDevices社の提供しているものは、コンパニオンアプリ(母艦アプリ)を除いてすべてオープンソースで、コンパニオンアプリ(母艦アプリ)についても核心的な部分は、libpebble3の形で提供し、これもオープンソースだ。Rebbleが盗用したとするものも、ちゃんと権利者から知的財産権を購入しているし、オープンソースのものを「盗用」するという表現はそもそもおかしい。
    • Rebbleの持っているアプリアーカイブのアプリ一つ一つは、その開発者のものであり、Rebbleのものではない。もともとPebble Watchのために公開されており、Pebble Watchのために、そもそも(Eric/CoreDevices社だけでなく)すべての人に公開されるべきものだ。なぜ囲い込むのか?自分のものだと思っているのだとしたら、それは間違いだ。アプリアーカイブは第三者による公開のアーカイブによるべきというのは、先日ブログ投稿もした。クローズドなアーカイブを作るつもりはない。
    • スクレイピングなど一切していない。ちょうどX(twitter)に先日投稿したとおり、手動で一つ一つウォッチフェイスやアプリを見て、お気に入りのものをピックアップしておいて、後でバンバン紹介していこうと思っていたので、軽いツールを作って数千のウォッチフェイスやアプリを見た。それらのログと一致するはずだ。これらを通常「スクレイピング」などとは呼ばない。
    • これらのことは普通に確認してくれればいいのに、訴訟をちらつかせることをRebbleは選んだ
    • Rebbleは意思決定プロセスも非公開だし、アプリアーカイブの利用にも「Rebbleを害しない」といった制限をつけるが、そもそもそれのどこがオープンなのだ。もともとオープンだったアーカイブをクローズドにして囲い込んでいるのはRebbleだ。クローズドがダメだと言うなら自らを省みてほしい。


…要約でもちょっと長いですね…すいません。
 

その後、EricからPebbleについて追加の動きがありました。

Ericから上記騒動によるコミュニティの反応を見て、下記の動きを決定しています。

  • コンパニオンアプリ(母艦アプリ)もオープンソースにすることを決定
  • Archive.org による新しいアーカイブ(リンク)を生成
    • コンパニオンアプリ(母艦アプリ)から参照できるアプリアーカイブを1つではなく複数に拡張し、両方を参照してApp Storeを構成するように修正する
    • こちらのアーカイブにも公開できるよう開発者用ダッシュボードも用意
    • 開発者が収益を得られる仕組みも検討中
詳細は、下記ポストを参照ください。
 

今回ポストされたRebble(れぶる)のブログ記事の内容

以下リンクになります。
コミュニティからの反応を見て、かなり落ち着いた内容となっています。 発端となったブログ記事が感情的であったことを認めており、また、アプリアーカイブがRebble(れぶる)の100%所有物であるかのような表現が不適切だったこと、そのような考えでないことも言及されています。それらを示すため、Rebble(れぶる)の保持するアプリアーカイブをすべてダウンロード提供を開始しました(ただしクローラーなどによる負荷が高いためログインを必要としています。また可能であれば利用の際には出典を示してほしいとのことです)。

また、Ericがスクレイピングでアプリアーカイブをコピーしたという主張も誤りを認め、謝罪の意思を示しています。

Rebble Foundationのガバナンスがオープンでないという批判も紳士に受け止め、下記の取り組みを行うようです。
  • 理事会の理事を増やし、コミュニティの関与を可能とします。
  • 会議の議事録の非公開について
    • 理事会は四半期に一度、目標を設定し記録します。これらをコミュニティに共有します。
  • 予算の透明性について
    • 資金の使途などについて、Discordに時々投稿していましたが、これでは不十分でした。財務状況と支出内容について報告・公開します
これらの動きは、2026年1月末までに動きを報告するとのことです

また、2名の理事を追加することも発表しています。Rebble(れぶる)の開発者サイトの管理を行っていた方とRebble App Storeのバックエンド改善などを行っていた方で、これまでも貢献されてきた方のようです。

誰も得をしない紛争を避けたい意思を示しており、しかし、Core Devicesの新しいPebble WatchのユーザーがRebble App Storeを利用するための合意は必要なので、コミュニティで多く意見が良さられた第三者の仲介者を介して交渉する方法をとりたい旨をEricに呼びかけています。

結びとして、改めて、Pebbleコミュニティのために動くことに集中したいとしています。
 

今回のRebble(れぶる)の投稿について思うこと

Rebble(れぶる)によれば、Eric/CoreDevices社の新しいコンパニオンアプリ(母艦アプリ)からのアクセスについて、Rebble Webサービスへのアクセスを遮断する意図も、その意思も一切ないことについて改めて言及されています。

しかし、「(新しいPebble Watchに対するRebble(れぶる) Webサービスの提供を)将来的にやむを得ず実施する場合でも、変更の少なくとも1ヶ月前には通知することをお約束します。」としており、アーカイブは公開されたものの、Web Serviceの提供をしない可能性にも言及されており、個人的には、まだ不穏な感じがしています。

現在、Eric/CoreDevices社は、コンパニオンアプリ(母艦アプリ)の修正を行って、アプリアーカイブについて複数のものに対応するような修正を行っています。Rebble(れぶる)がアーカイブを公開した以上、これをやはりArchive.orgのような公開の場所にアップロードした上で、Eric/CoreDevices社がこれを参照するようにすることも可能です。わざわざRebble(れぶる)のWeb Serviceを介する必要は無いように思えます。…この点について、おそらくすぐには動きは無いと思いますが、これから先、Eric/CoreDevices社がどういう選択をするのかは、注視していきたいなと思っています。
 
とりあえず、Rebble(れぶる)側が、当初の感情的な態度を改めたのは、Pebbleコミュニティにとって良いことかなと思いました。ちょっと気持ちが落ち着いた気がします。

どうにか、Pebbleコミュニティ、Core Devices、Rebble(れぶる)の3社にとって良い形で落ち着けば良いなと思っています。

開発者用ドキュメントについて、EricにブチギレていたRubyさんが、Rebble(れぶる)の新理事として新たに加わるようなのですが、大丈夫かな…(ここが一番不安)

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